本日は夜間部のきもの芸術科3年の生徒さんが制作した袷の訪問着を紹介いたします。
早速作品をご覧いただきましょう。あざやかな紫地の訪問着です。
よく見るとお分かりいただけると思いますが、袖口やふきに薄く広げた綿が入っています。
かつてのきものはこのように寒い時期になると表地と裏地の間に綿を入れて仕立てることもありました。
春になって気温が上がり暖かくなってくると間の綿をとって普通の袷にしていました。「四月一日」と書いて「わたぬき」と読むのは旧暦四月一日に袷の間に入れていた綿を抜いていたことに由来するそうです。
綿が入っていますので、たたむと普通の袷のきものよりふわっとしたたたみ具合になります。
一枚のきものを大切にしていた昔の人の知恵を知ることのできる仕立て方ですね。それを今の生徒さんが仕立てることでまた次の世代へと知恵が受け継がれていくのではないでしょうか。