今週はきもの芸術科1年の生徒さん達の作品をご紹介してきましたが、本日もきもの芸術科1年生の生徒さんの作品をご紹介いたします。
生徒さんが初めて縫った女物浴衣です。
蛇の目傘に枝垂柳文様の浴衣です。
面白いもので生徒さんは二つのタイプに分かれます。一つは少々大雑把でも縫うのが早い生徒さん、もう一つはゆっくり丁寧だけど完成まで時間がかかる生徒さんです。
大雑把な生徒さんは枚数を縫ううちに段々仕立てが丁寧になってきます。時間のかかっていた生徒さんは段々と縫うのが早くなってきます。目指すところは同じなのですが、その過程が異なるのが興味深いところです。
傘は雨に濡れないよう身を守るものとして縁起の良い文様だとみなされています。そして柳は成長が早く枝葉は漢方薬にもなり、柳を植えると地盤が強くなることから繁栄や成長、また災厄を防ぐものとして同じく縁起の良い文様とされています。
このように縁起の良い文様を吉祥文様と言います。古(いにしえ)の人達は吉祥文様にあやかりたいという気持ちで衣類や器物に吉祥文様を入れました。
きもの上級者の方ならこの文様を見て松尾芭蕉の「傘(からかさ)に押わけ見たる柳かな」という句を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今年は例年より早く梅雨が明けてしまいましたが、雨の季節にふさわしい文様の浴衣だと思います。
さて次回はどのようなきものをご紹介できるでしょうか。皆様お楽しみに。