6月25日㊐に特別講座・夏期きもの大学を開催いたしました。
きもの大学は本校が夏と冬の年2回開催している特別講座で、毎回帯結びの実技指導や外部の先生をお招きして講演をしていただいています。
コロナ禍の影響で3年間開催を中止していましたので、久しぶりのきもの大学となりました。
午前中は本校着装主任講師の寺屋先生による帯結びの実技指導です。新作の帯結びを含む3つの帯結びを寺屋先生を中心に着装講師の先生方で帯結びのデモンストレーションを行いました。
寺屋先生がポイントを指摘しながら一つ一つプロセスを解説していきます。
後半は受講生達に壇上に上がっていただき、着装講師の先生方の指導の下、実際に帯結びを体験していただきました。
そして午後からは松竹衣装株式会社の神谷先生による講義をしていただきました。神谷先生には「歌舞伎の立役、女形のそれぞれの着付」のテーマで歌舞伎の登場人物が着用する衣装について解説をしていただきました。
まずは松竹衣裳にて衣裳の発注から準備から完成までの現場の流れをご説明いただいたり、衣裳の色が赤は生命力や若さ、黒は粋と悪、浅葱色は善や男性のイメージカラー、鴇色は女性のイメージカラーであること、衣裳の模様が役の心情を表すこと、同じ役でも屋号によって地色が変わることなど衣裳の決まりごとについても詳しく教えていただきました。
講義の後半では生徒さん達がモデルになり、舞台で使用される衣裳を解説を交えながら実際に着用させていただきました。
まずは裃です。舞台衣装としての裃は芝居によって肩幅を変えるそうです。
続いて芸者の衣裳です。襦袢の衿を合わせてから縫い留めるなど通常の着付けとは異なる点も教えていただきました。
歩くと帯が揺れる様子を柳に見立てて柳結びと言うそうです。
続いて鏡獅子・後ジテ(のちじて)の衣裳です。後ジテとは前後二場ある曲の後場のシテを指します。袴が大口と言います。衣装の後ろの部分に形を維持するために畳のゴザが入っています。
「勧進帳」の弁慶の大口は生地の厚みがあるので縫うのに苦労するそうです。
着てていただいた生徒さんは衣裳の重さにびっくりしたそうです。これを軽々と来て舞台に出る役者の方々はやはりすごいですね。
そして続いては赤姫の衣裳です。歌舞伎に登場するお姫様の総称で、役柄の名前と同時に衣裳の名称でもあります。お姫様役の衣裳の色が概ね赤色地であることから赤姫の名がついたそうです。
ふくを縫う際は縫込みをせず、三角の布を足して形を作るそうです。生徒さん達は通常の仕立てとの違いにも興味深々だったようです。
座って立つという所作一つも重労働なのがよく理解できたのではないでしょうか。
さて最後は伊達傾城の衣裳です。いわゆる遊女が花魁道中の際に着る衣裳です。
帯は「俎板帯」という花魁独特の帯を用います。
ふきの太さも3寸あり、女形の衣裳の中では一番重量のある衣装だそうです。
神谷先生貴重なご講義と衣裳のご紹介をありがとうございました。モデルになっていただいた生徒さん達もお疲れ様でした。
貴重な体験をさせていただいたと思いますので、ぜひこれからの学びに役立てて下さい。
次回のきもの大学は12月の予定です。
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